百地総監督より選手たちに先日配布されたプリントに食事に関するアドバイスがありました。食事の大切さはわかっているんですがなかなかどうしていいかわからないというのが多くの保護者の意見ではないでしょうか?
 そこでこのページでは森辻さんより借りました 「 野球食 」 という本の内容を抜粋し載せてみました。参考にしていただければ幸いです。
 
野球食 海老久美子著 (ベースボールマガジン社)

<1回表> 食べるにも体力は必要。まずはしっかり食べられる体作りを

よくトレーニング直後のパンプアップした筋肉の状態を「筋肉量が増えた」と勘違いしている選手がいるが、これは筋肉に血液が集まって一時的に腫れているだけで筋肉が大きくなったわけではない。
本当に筋肉が作られるのはここからだ。筋肉に入れた材料がトレーニングという刺激を受けて新たな筋肉になる。つまり「食べなきゃ筋肉は作れない」のだ。ちょっと考えてみれば当たり前のこと。でもその当たり前ができていない野球選手がとても多いのだ。
選手は食べることを食欲を満たすためだけと考えてはいけない。ノックと同じように、素振りと同じように、野球がうまくなるための一番の基本であると考えてほしい。
食べるにも体力は必要である。練習から家に帰って、おなかはすいているはずなのに疲れて食べられない経験はないだろうか?疲れ切った体は食べることさえできなくなる。
「いくら食べても太れない」って感じている選手も多いだろう。この多くは内臓が食べ物を十分受け付けられない状態が原因。きちんと消化し、必要なものを吸収できないのだ。これではいくら食べても食べ物は、ただ体を通過するだけ。
では「食べられる体力」をどうやって作るか?ポイントは「貪欲に消化吸収できる体にする」こと。「食べられる体力」がしっかり付けば、どんな時でもしっかり食べられ、イザという時、少々無茶な食べ方をしたって大丈夫な。タフな体になることができるのだ。
 
食べられる体力をつけるトレーニング方法
    よくかむこと
    水分補給をこまめに
    姿勢を正し、腹筋を鍛える
    朝方の食べ方をする
 

<1回裏> 知っているようで本当は知らないプロテインの正体

プロテイン:直訳するとたんぱく質であり、肉や魚、豆、乳製品に含まれている体の材料となる栄養素ということになるが・・・一般に「プロテイン」と称されているのはプロテインパウダーの略であり、牛乳や大豆などのたんぱく質源から脂肪を取り除き、吸収の良い形にしてビタミンやミネラルなど各種栄養成分を加えた粉末の食品のことである。
商品にもよるが、1回の使用料に含まれるたんぱく質の量は7~13g程度。牛乳に溶かして飲んでも多くて20g以下。大きめの鮭一切れに含まれるのと同じくらいの量になる。プロテインも鮭と同じ立派な食品。薬じゃない。20gのたんぱく質を鮭で取るのかプロテインパウダーで取るのかはその日の状況に合わせて選べばいい。
 
 
 
野球選手に必要なプロテイン(=たんぱく質)は体重㎏×2g
成長期の野球選手の場合、おおよそその倍の体重1㎏辺り2g程度を目安にするといいだろう。体重60㎏であれば120gくらいだ。
たんぱく質は体の材料になるとても大切な栄養素だけれど、多く取ればいいものでもない。たんぱく質の取りすぎは内臓に負担をかけることになるので適量を知ることも大切である。
 
*プロテインパウダーは「ポパイのホウレンソウ」ではない。
しかし時と場合によっては便利な携帯用のたんぱく質である。たとえば遠征先の試合後や練習後の捕食、夏場の食事がとりにくくなったときなど活用できる場面も多くある。しかしこれを飲めば強くなるというような魔法の食品ではないのでその意味、使用方法を十分理解し使用すべきである。
 
「いっぱい」の量は決め付けるのではなく、作り上げていくのだ。
 「体をでかくしたい」と真剣に思っている野球選手は多い。同時に「いっぱい食べているのにでかくならない」と思っている選手も多い。
 この「いっぱい」って量をもう一度冷静に見直してみる必要がある。自分が考えている「いっぱい」の量が、本当に今の自分にとって「いっぱい」なのか?どこかに偏っていいたり、隙ができていたり、体力のないことに甘えていたりしていないだろうか?
 高校時代は大人への過渡期だ。体のキャパシティーに柔軟性がある。食べる努力に体は応えてくれる。急にじゃなくていい。少しずつでいい。食べられる体を作り上げ、チームメートや監督や親を驚かせよう。
 

<2回表> 野球選手の食事の基本

でかい選手になりたかったら、まず最低限これを食べよう
 通常であれば1日当たりのエネルギー量を3500Kcalを基準にしていることが多いが、毎日練習している高校野球選手はこれでは物足りない。やせ細ることはないだろうが、でかい選手にはなれない。個人差はあるが、」練習のある日のエネルギー量は1日4500kcalを基準にしたい。
① 材料としてこれだけは食べる
まずはじめに「プロテイン」成長に欠かせない体の材料であるたんぱく質だ。それと各種ミネラルを多く含む食品群。肉・魚・豆・卵・乳製品がこのグループに入る。
・いろいろ食べること。好きなものや肉類に偏らないこと。
・1日3食に分けて取る。一度のドカ食いは内臓に負担がかかるうえ、脂肪になりやすい。
・一緒についてくる脂肪の取りすぎに注意。自然のたんぱく質を多く含む食品は同時に脂肪を多く含む傾向がある。
② ガソリンとしてこれだけ食べる
次にエネルギー源。糖質と脂肪を多く含む、ご飯・パン・いも・餅・油脂類のグループ。糖質といっても砂糖から取るのではない。でんぷん質から糖質を取るのだ。
・ご飯:一食の目安量は丼に2杯弱(500g・丼の重さは除く)。これを朝から食べられる体力を作る。
・ご飯のほか、甘くないパンや麺、餅などのでんぷん質中心に、なるべく油ものや甘いものに偏らないように。
・芋はでんぷん質のほか、ビタミンCや食物繊維もしっかりとれる。おやつとしても利用しよう。
・しっかりエネルギーにするためにビタミンB群も一緒にしっかりとる。
・ご飯を玄米や胚芽米など完全に精白していないものを使ったり、強化米を入れたりするのも有効。特に疲れやすい夏場にはお勧め。
③ エンジンオイルとしてこれだけ食べる
体の調整役、車で例えるならエンジンオイルの役割である3つ目のグループ。野菜・きのこ・海藻・果物類。これらはエネルギー源としてはカロリーが少ないが、ビタミン・ミネラル・食物繊維など体のコンディションを整えてくれるために必要な栄養素をたくさん持っているグループである。
野菜の一日に取るべき目安は約300~400g。これに果物100gときのこ・海藻で50g。ピンと来ないかもしれないがかなりの量だ。
・とにかく皿にのっている野菜は残さず食べよう。
・プチトマトやカボチャ、トウモロコシ、枝豆などは果物同様、おやつとして活用。
・海藻・きのこは毎日1回は食べるように意識する。
 
好きなものを好きなだけ食べたり、出されたものを疑いもなくただ口にしているだけでは、今よりでかい選手にはなれない。
自分の現状に必要な食べ物は何なのか?いつ、どのくらい食べればいいのか?を自分で考え、食べて、頭と体に覚えこ 
  ませていくのも大事なトレーニング。しっかり食べてでかくなろう。
 

<4回表> 朝めしをなめるな。ウォーミングアップは朝食からはじまる。

朝ご飯しっかり食べてる?
しっかりの認識に個人差がある。ある調査では、今「小学生の4人に1人は朝食欠食」とのこと。この現状から考えれば、たとえ「菓子パン1個にジュース」でも「しっかり朝ご飯食べた」と言い切る選手がいても不思議ではない。
 しかし野球選手の朝食となるとこれではいけない。こんな朝ご飯で野球をやろうなんて、野球をなめちゃいけない。
 
体以上に頭はエネルギー源をほしがっている
 野球選手にとって朝ご飯は、まず体のエネルギー源であると同時に脳のエネルギー源。脳細胞は想像以上に多くのエネルギーを必要とする。朝ご飯は頭の働きのためにもなくてはならない存在なのだ。午前中、ぼーっとして集中力散漫になって怒られたり、どうも調子が出ない選手、もしかしたら頭のエネルギーが足りていないのかもしれない。
 脳のエネルギー源は糖質。ご飯、パン、麺、芋、餅などでんぷん質を中心にしっかり糖質を補給するとともに、その代謝に欠かせないビタミンB群を合わせて取ることが必要だ。
 
朝ご飯からウォーミングアップは始まっている
 「食事は体温を上昇させる」。練習や試合前に体を温めるためにジョギングやストレッチなど、ウォーミングアップをしない選手はいないだろう。でも実は、ウォーミングアップは朝食からはじまっているのだ。朝食をおろそかにしているということは、その時点で野球をおろそかにしているということ。
 食べること自体、体を温めるが、中でも食後の体温上昇には食事中のたんぱく質が欠かせない。そう、プロテインだ。卵・魚類・豆類・肉類・乳製品などのたんぱく質源を、毎朝食べているだろうか?これらは体の材料であると同時に、体を温めるためにも重要な栄養素だ。
 

<5回表> 野球選手の弁当はキレイに飾らなくていい。めざすはパワーランチ!

「野球選手としての弁当」を体と頭に叩き込む
 まず自分の弁当箱に入る量を知ろう。高校球児の一食分の弁当箱として少なくても1ℓ以g)、半分におかず。そのおかずの半分に肉・魚・卵などのたんぱく質がとれる主催のおかずを、残りの半分に野菜や海藻、きのこ、豆などの副菜となるおかずを詰める。それにプラスしておにぎり1個(1個150g)と乳製品(牛乳やヨーグルト)、そして果物(または果汁100%ジュース)。
 これが練習のある日の弁当の基準量と考えよう。おにぎりや果物は練習の始まる前の捕食に回してもいい。
 大切なのは毎日の昼食量をキープする癖をつけることだ。毎日菓子パンとコーヒー牛乳の昼食で筋肉をつけたいと考えるなんて、とても図々しいことだとわかるだろう。体の材料、たんぱく質は足りない、ビタミンCなんて皆無である。
 でもこれが考えていない選手の現状。だから弁当に注目して改善することは、チームメイトに、ライバルに差をつける最大のチャンスともいえる。
 
弁当をパワーアップする秘訣
 弁当を作ってもらっている選手は、まずその環境に感謝しよう。毎日自分より早く起きて弁当を作ってくれている親を当たり前だと思っていない?逆に自分が親より早く起きて、親に弁当を作れるだろうか?そう考えるとどんなに大変なことを毎日やってくれているかがわかると思う。
 たとえ照れくさくても、一度きちんと感謝の気持ちを表すべきなのだ。態度で、そして言葉で。
態度ではまずは残さず食べること。そして少なくても自分の弁当箱を洗うこと。そして、何がおいしかったか、今度はこういうものを入れてほしいとか、弁当への感想と感謝を言葉で表すこと。
 親だって人間だ。感謝されればうれしいし気が抜けなくなる。こういうちょっとした気配りをするだけで、自然に弁当はパワーアップする。
 
 

<5回裏> 1日3食プラスα。おやつは偉大なる助っ人だ!

野球選手のおやつは捕食と考える
前項までのとおり、成長期の野球選手はたくさんの栄養素を必要としている。これだけの食事を3食でしっかりとれればそれに越したことはないが、時間や食べる側の体力など、現実は3食の食事だけでは足りない場合が多い。
 となると、選手のおやつはただ満腹感を求めるためのものではなく、3度の食事で足りないものを補う「捕食」でなくてはならない。
そのためには脂肪が多く、精製された糖を多く含む「高カロリーなわりに栄養素の低い」ジャンクフードはなるべく避けたい。たとえばポテトチップス、コーンスナック、チョコレート菓子、揚げ菓子、ジュース、コーヒー牛乳など。これらが好きな選手も多く、中には昼食代わりにしたり、電車の中で食べ続けている選手を見かけることもあるが、これでは体は作れない。ポテトチップスよりチーズを、チョコレート菓子よりおにぎりを、コーヒー牛乳より牛乳を選んでほしい。 
 
野球選手の捕食になるのはこんなもの
 ではどんな食べ物が野球選手のおやつとして適しているのか具体的に考えてみよう。
  • おにぎり:手軽にとれるエネルギー源の代表。甘くなく、脂肪もほとんど含まず、満腹感もある。具やのりなどの栄養価も見逃せない。
     
  • のり巻き:高野豆腐、三つ葉、卵など、具のたんぱく質、ミネラル、ビタミンが期待できる。また疲労回復に有効な酢も使っている。
 
  • いなり寿司:油揚げの分、たんぱく質を含む。五目のものは具の分栄養価アップ。
 
  • サンドイッチ:おにぎりなどのご飯ものよりは、バター、マヨネーズなどの脂肪を多く含むため高カロリー。ハム、チーズ、卵などのたんぱく質、それに野菜が多ければビタミン類の栄養価が期待できるので、菓子パンよりは利用価値は大きい。できればパンは胚芽、玄米粉が入った、白くないものを選びたい。
 
  • パン類:ロールパン、レーズンロール、黒糖ロールなどシンプルな食事パンは捕食に適している。間にチーズを挟むなどしても食べやすい。
 
  • 中華まん:冬の定番。暖かさが消化を助ける。皮は脂肪が少ないでんぷん質。具はたんぱく質やミネラルを少しではあるがとることができる肉まんのほか、ピザまん、カレーまんなども同様。
 
  • バナナ:糖質の形が試合前に取るのに適している。カリウムを豊富に含む。食べやすく、持ち歩きやすいのもうれしい。
 
  • 柑橘類:疲労回復、エネルギー生成に欠かせないクエン酸、ビタミンCを豊富に含む。オレンジやはっさくなど、少々皮の厚いものでも面倒くさがらずにしっかり食べたい。
 
  • カップヨーグルト:携帯に便利なカップタイプはたんぱく質、カルシウムを多く含む。最近は種類も豊富であるが、なるべく甘さが少なく、プレーンに近いものがお勧め。
 
  • 角チーズ:わすれられがちだが、手軽に取れる貴重なカルシウム源。師らいすチーズも同様。
 
  • 牛乳:たんぱく質、カルシウム源として1日400~600mℓは取りたい。ただし飲みすぎは乳脂肪の取りすぎにもなるので注意。また甘みの強いコーヒー牛乳やフルーツ牛乳は牛乳の代わりにはならない。
 
  • 100%オレンジジュース:クエン酸補給に有効。ただし当分は清涼飲料水と同等に含まれるので、100%だからといって飲みすぎないよう注意。
 
  • バランス栄養菓子:ここ最近、種類も増え、いろいろ選べるようになった。用途を合わせて取り入れてみてもいい。何が入っているのか、何から作られているのかチェックを忘れずに。
 
練習前の捕食
  運動前の捕食のポイントは、まず消化のいい糖質プラス水分を中心にとること。
  サンドイッチ、おにぎりなどの軽食は運動1~2時間くらい前にまでに食べる。それ以上に時間が迫っているときには量を少 
 し減らし、よくかんで食べること。
  バナナ、ミカンなどの果物はできれば30分~1時間前までに取りたい。
 
練習後の捕食
  運動後の体は、今まで蓄えていたエネルギーやたんぱく質などの栄養素を使って減らしてしまった状態にある。これをいか 
 に早く補充するかが疲労回復のポイントになる。
  運動後なるべく早く、糖質、たんぱく質、クエン酸、ビタミン、ミネラル類を補給したい。一番望ましいのは運動後1時間以内
 に食事をとることだが、都合により食事が取れないときにはおやつなどでつなぐことも考えたい。
  運動前が糖質中心の補給に対し、運動後は糖質源(果物、おにぎり、パンなど)に加え、チーズ、牛乳、ヨーグルトなどたん
 ぱく質を意識した補給を心がけたい。
  ただし練習後には家に帰って夕食をとるのだから、くれぐれも食べすぎないこと。目安は350Kcalまで。
 
<食べ合わせ例> 
肉まん+牛乳(200ml)=350Kcal
おにぎり+100%オレンジジュース(200ml)=250Kcal
バナナ+ヨーグルトドリンク(200ml)=250Kcal
レーズンパン+角チーズ+グレープフルーツジュース=300Kcal
手巻きすし+ゆで卵+お茶=220Kcal